【キクタススタッフより】
早川が精力的に取り組んでいる新メディア、石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」。第15号が配信されました。
メールで配信しているので「メルマガ」ではあるのですが、今回も読み応えたっぷりの文章量。なのに飽きることなく、一気読みしたくなるんです。
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目次
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00 PICK UP「セックスへの誘い方」
01 ショートショート「これから一生をともに過ごす人」
02 イラとマコトのダブルA面エッセイ〈15〉
03 “しくじり美女”たちのためになる夜話
04 IRA’S ワイドショーたっぷりコメンテーター
05 恋と仕事と社会のQ&A
06 IRA’S ブックレビュー
07 編集後記
今回は「衣良とマコトのダブルA面エッセイ」の中から冒頭をちらりとご紹介。
石田衣良とご存知『池袋ウエストゲートパーク』の主人公マコトが、 考えたこと、感じたことを、誠実に自己検閲なしで語っています。
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02 イラとマコトのダブルA面エッセイ〈15〉
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◇5人にひとりは…… 石田衣良
とうとう日本人の5人にひとりは、生涯結婚をしなくなったという。
もう結婚は誰もがするものでも、当たり前のものでもなくなったのだ。ある意味流行遅れの制度になってしまったのかもしれない。
2015年の厚生労働省の白書によると、50歳未満の未婚率は男性20・14パーセント、女性17・37パーセント。この数字は右肩上がりを続けていて、バブル期の1990年には6パーセント未満なので、当時から比べるともう3倍以上に跳ね上がったことになる。たぶんこれからも間違いなく上昇していくのだろう。
アルバイトや非正規の仕事をしていて、経済的にとても無理だという人は、ひとまずおいておこう。そちらは公的な援助を充実させ、非正規ふたりのカップルでも子育てが可能な体制をみんなで政府に働きかけ、つくりあげるしかない。北欧のように子どもの教育費と医療費は大学卒業まで無料という形にでもしなければ、解決できない深刻な問題だ。
でも経済的には可能だが、結婚しないという人には、そろそろつぎの手を考えてもらえないだろうか。
未婚率が2割を超え3割に近くなると、ほんの半世紀で人口ががくんと減少し、1億人どころかドイツ並みの8000万人なんて事態にもなりかねない。作家でいえば、その国の言葉をつかう人口で職業作家の数は決まるのだ。英語圏は世界に広がり、読者数も多い。そこで自動的にプロの作家の数は増えることになる。
日本は1億2700万人強の人口があり、ロシアについで世界の第10位だ。この数字が国内市場の豊かさとなって、すべての産業や仕事に効いてくる。国内市場にゆとりがあるから、強い輸出産業も育成できる。国のなかで元気がなくなれば、外でも当然勢いを失うようになる。
未婚率の上昇には、欧米流の男女1対1のロマンチックな恋愛結婚観が影響していると、ぼくは思っている。まあ、ストーリーとしては素晴らしいのだけれど、欧米発なので実体は弱肉強食の恋愛なのだ。誰もが魅力的で、異性とも優雅にコミュニケーションがとれる訳ではない。自分ひとりの力で狩りにいき、獲物をとってこられるハンターが、この国でそれほど多いはずがない・・・(続きはブックトーク第15号で……)
◆結婚って、そんなにいいもの? 真島マコト
おれは東京の工業高校卒で、クラスのやつらはやんちゃなやつばかり。
結果的にみんなやけに結婚が早くて、もちろん出来婚率も相当高い。
で、結婚して数年後どういう状況になっているかというと、ぜんぜん幸福そうには見えないんだ。
若いから生活が苦しいのはあたりまえなんだが、自由がない、もっと遊びたい、冒険ができず夢がなくなった、なんてやつらばかり。
そんな話をきかされているから、当然おれも結婚について女たちのように夢を見ることはない。
まあ、すぐに結婚してもいいという女もいないしな。
おれはもてないことはないんだが、ごく少数のいい女にしかもてない。
そういう趣味のいい女は池袋にはほとんどいないのが真実・・・(続きはブックトーク第15号で……)
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