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■「グーグル認定講師」渡辺さんとの出会いは、ポッドキャストから

 

「時代や環境を超えて生きる」ための月刊オーディオマガジン『コスモポリタン』。第23号では「世界で最も住みやすい都市」に何度も選ばれているオーストラリアのメルボルンに行ってきた。

今回取材をしたのは、メルボルンで日本語教師をつとめる渡辺発帆さん。1998年に渡豪後、教員免許を取得し、2001年にビクトリア州立サウスオークレー中高一貫校の教師に。13年度には世界から50人のみに授与される「グーグル認定教師」にも選ばれるなど、ITを教育に取り入れるイノベーターでもある。

そんな渡辺さんと知り合ったのは、ポッドキャスト(無料のインターネットラジオ)。そう、僕のインタビュー番組「キクマガ」のリスナーさんだったのだ。僕は普段から番組内で「次はここにいきたい!」「あそこに興味がある」と好き勝手につぶやいているのだが(苦笑)、とってもありがたいことに、「今度はオーストラリアに行きたい」と騒いでいた回を、渡辺さんが偶然にも聴いていてくれたのだった。

彼からメールで「何か役に立てることがあれば……」と連絡をいただき、すぐにSkypeでトーク。いろいろ話しているうちに前述のキャリアやお人柄から、渡辺さんこそ、まさに「時代や環境を超えて生きる」コスモポリタンだ!と、インタビューをお願いするにいたった。

 

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■天皇の崩御で気付いた「日本人」としての自分

 

日本語教師を志したのは校2年生。交換留学で訪れたオーストラリアで、日本語の家庭教師をしてくれと言われたことがきっかけだった。時は1989年。昭和天皇が崩御し、「お前は日本人としてどう思う」と問われた。その時初めて、日本人としての自分を強く意識した。「日本人であることとは、どういうことか」。日本語教師ならそれを伝えていけることが面白いと感じた。

帰国後、日本の大学を卒業し外資系企業に就職するも、英語を使う場面の無い仕事にジレンマを感じていた渡辺さん。会社に見切りをつけ、オーストラリアで教員免許を取るべく行動を開始する。その時、24歳。

オーストラリアで教鞭を振るうようになってすでに15年。「日本語を教えることも楽しいが、今は生徒の華やぐ顔が見るのがそれ以上にうれしい」という意識に変わった。「もっとクリエイティブな授業をしていきたい」とも渡辺さんは語る。

 

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■23人のコスモポリタンに会って気付いたこと

 

海外で「日本人以外」に教えている先生というと、とかく欧米人ばりのハイテンションを想像してしまうが、実際お目にかかった渡辺さんはその対極。もの静かで物腰もやわらかく、とにかく丁寧で、気遣い、気遣い、気遣いの方という印象を強く受けた。

コスモポリタンのインタビューもこれで23人目。もうすぐ丸二年、世界を生きる日本人たちに取材していることになるが、近頃感じるのは僕がお目にかかったほとんどの方が(渡辺さんに代表されるように)いい意味で、「日本人」像をそのまま体現している方ばかりだということ。

なにかを地味に地道に継続して積み上げていく人。 口数はあまり多くないけれど、あったかい愛情にあふれた人。物腰がやわらかく、とにかくていねいな人。

「日本人は主張しない」「リアクションが小さい」と言われることもあるけれど、よい部分もいっぱいある。「そんな」日本人だからこそなし得てきたものもたくさんある。

コツコツ……ほんとうにコツコツの積み重ねで、日本を出てメルボルンでのライフワークを見つけた渡辺さんとの対話を通して、「世界を生きる」ことがいっそう身近に感じられた。これまでは「世界」という言葉を聞くと、どこか「あこがれ」「特別な人だけのもの」でしかなかったけれど、近頃は「ああ、僕でも行ってもいいのかも。いまの自分のままでもいいのかも」って。──渡辺さん、すてきな時間をありがとうございました。

コスモポリタン23渡辺発帆さん(メルボルン/日本語教師)インタビュー

 

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