【エッセイVol.004】ステイホームベストバイ【前編】
モノ雑誌などでよく見かけるベストバイ特集。読むと必ず何かほしくなってしまうので書店では見て見ぬふりをしているが、雑誌読み放題アプリ内で見かけるとつい読んでしまう。ベストバイ好きが講じて最近ではインタビュー相手にも「最近のベストバイは何ですか」とうかがってしまうほど。買い物にはその人の価値観が如実に出るからおもしろい。「何を大切にしていますか?」とストレートに聞くよりもむしろ本質に迫れる。

エッセイ<04>
ステイホームベストバイ【前編】
モノ雑誌などでよく見かけるベストバイ特集。読むと必ず何かほしくなってしまうので書店では見て見ぬふりをしているが、雑誌読み放題アプリ内で見かけるとつい読んでしまう。ベストバイ好きが講じて最近ではインタビュー相手にも「最近のベストバイは何ですか」とうかがってしまうほど。買い物にはその人の価値観が如実に出るからおもしろい。「何を大切にしていますか?」とストレートに聞くよりもむしろ本質に迫れる。
そんななか先日もある取材でお相手にこの質問をしたのだが、反対に「早川さんはどうですか?」と返されてしまった。質問するのは日常だが「される」のは非日常。結局どぎまぎしたまま時間切れとなってしまった。「いつかブログにでも書いてくださいね」と笑われてしまった。
というわけでこの場を借りて私的ベストバイを考えてみたい。せっかくなので「ステイホームに役立つ」というくくりで。セレクトは全部で六つ。前後編で三つずつお伝えしたい。
まずは第6位。
「あずきのチカラ(目もと用)」
文字通りあずきが敷き詰められているアイピローで使い方は簡単。レンジで四〇秒温めるだけ。あずきの天然蒸気と適度な重みが心地よく、心まで温まる。昨年来オンライン取材の激増で眼精疲労に悩まされてきたが、起床時・昼間(2〜3回)・就寝前とこのアイピローをフル活用したことで症状がかなり軽減された。もう少し温熱が持続してくれると言うことなし(だいたい3分くらいで冷めてくる)だが、電気式ではないので仕方ないか。使用可能回数は250回。これが1,000円以下で手に入るのだから「買い」だ。
続いて第5位は「AirPods Pro」。これまで第一世代、第二世代のAirPodsも使ってきたが、同シリーズの中では間違いなくベスト。何といっても初導入のノイズキャンセル機能がいい。音楽をかけなくても使えるので、読書や瞑想、何かに集中したいときにもうってつけ。ランニングや歩行時などは「外部音取り込みモード」に切り替えれば周囲の必要な音を取り入れることもできる。
ネックは価格だ。税込みで3万580円(2021年3月現在)と第二世代に比べ1万円も高い。これまでのモデルと形状が異なるため購入前に試着することもおすすめしたい(耳にはまらずに購入をあきらめた知人がいる)。ぼく自身もランニング中に抜け落ちてしまったことが一度だけある。付属のイヤーチップのサイズを大きくし今のところはまってはいるが、長時間走っていると徐々にゆるくなってくることもたまにあり、その点は懸念が残る。とはいえ、iOSデバイスとの接続性は、当然ながら他社製品と比較してダントツ。ペアリングでストレスを感じたことはただの一度もない。iPhoneユーザーかつ試着して問題ない人には間違いなく推したい。
そして前編最後の第4位。
「マジコ姿勢サポーターPlus」
たすき掛けするようにつける猫背矯正ベルトでかれこれ3年以上使っている。きっかけは執筆に伴う数カ月間のデスクワーク生活で姿勢が悪くなり、股関節を痛めてしまったこと。ランニングはおろか歩く度に激痛が走るほどだった。これはマズいとお世話になっている治療院の先生に相談したところ、すすめられたのがこのサポーターだった。
こういう姿勢矯正グッズの類いは昔からいろいろと試してきたが、正直窮屈さの割にほとんど効果が感じられたことがなかった。そんなわけで全く期待していなかったのだが、クロスしたたすき掛けのゴムベルトを両肩に背負い、腰のベルトを締めるとその補正力にびっくり。いとも簡単に上体が起き姿勢がよくなる。かといって背中や腰の圧迫感はそれほどない。メッシュ構造になっているので通気性も優れている。
類似品とは明らかに違う装着感と矯正力におのずと膨らむ期待。姿勢改善と股関節回復を信じて1日15分の装着を続けてみると、なんとわずか2週間で歩いても痛みを感じなくなるまで回復したのだ。そればかりか、15分もデスクワークをしていると足を組まずにはいられなかった悪癖まで払拭されていることに驚いた。
1週間後。治療院へ行くと「姿勢が随分良くなりましたね。股関節のゆがみも改善されています。明日から走っても良いですよ」と先生。そして翌日。恐る恐る右脚左脚と踏み出すが股関節に痛みは感じない。2カ月近くブランクがあったにもかかわらず、結局ぼくはいきなりいつものコース(9キロ1時間弱)を走りきってしまった。マジコ姿勢サポーター恐るべし。
唯一残念なのは生地に厚みがあるので下着と服の間に着ると明らかに「何か着けてる感」が出てしまうところ。とはいえ、自宅なら服の上から着けても恥ずかしくないし、効果を考えれば(ぼくなら)オフィスでも使うと思う。何より姿勢がよくなると気持ちまでシャンとするのがうれしい。「年のせいか腰が丸くなってきた」と話していた母にもちょうどプレゼントしようかと思っていたところだ。
ベストバイ後編はいよいよトップ3。どうぞお楽しみに。(了)