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アート、アート、アート。

今年に入ってから
やたら雑誌でアート特集が組まれたり、
アートの楽しみ方みたいな本が出ていたり。

イタリア・日本、国交150周年とあいまって、
ダヴィンチやボッティチェリなどの展覧会が開催されたり、
全国各地でビエンナーレ(2年に1回開かれる美術展)や
トリエンナーレ(3年に1回開かれる美術展)が開催されたりするなど、
ことしは美術界にとって当たり年のようですね。

そんな世の中の空気を感じながら、
ふとぼやいていた昔の自分を思い出しました。

「現代アートって、正直よくわかんない……」

なんで、

白いキャンバスに赤や黄色いペンキを
適当に飛ばしたような絵画?や

ただ石ころを積み上げただけの作品?に

何百万、何千万円もの価値がつくんだろう……

いくら考えてもさっぱりわかりませんでした。

現代アートではなく、
前述のルネッサンス期の超有名画家の作品なら、
「なんとなく」すごいんだろうな、
美しいんだろうなとわかるけど(笑)

だからはっきりいって、
現代アートは嫌いでした。

けれど、
いまはしょっちゅうというほどではないけど、
自分から好んで美術館に足を運んで、
アートを楽しむようになりました。

そんなぼくのアート嫌いを変えてくれたのが、
栃木県、那須塩原近くの温泉街として知られる
板室温泉にある大黒屋のご当主、
室井俊二さん。

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そんな「恩人」に会いに、
6年ぶりに大黒屋に二泊してきました。

彼にはじめてお目にかかったのは2010年。

ぼくがプロデュースする
横浜美術館のポッドキャスト(インターネットラジオ)番組、
「ラジオ美術館」でのこと。

大黒屋はことし創業465年、
栃木最古の旅館だそう。

「保養とアートの宿」をコンセプトに、
リピート率はじつに7割以上。

国内外から多くの
お客さんが訪れています。

旅館に現代アート?

6年前に初めてこの宿を訪れる前、
「アート嫌い」だったぼくにとっては、
「保養なんてできるんだろうか」という猜疑心が
正直ありました(室井さんごめんなさい)。

けれど、訪れた瞬間。
その考えは間違いだったことがわかりました。

館内・館外には、
現代アートの宿の名の通り、
ほんとうにたくさんの作品が
ちりばめられていたけれど
全くストレスがないんです。

理由は自分でもはっきりわかりませんでした。

でもしいていうなら、

どれも「どうだ!」と主張するのではなく、
さりげなく、
そっとそこに一体化している感じ。

作品だけでなく、せせらぐ川の音、虫や野鳥の声、
おもてなし、料理……
すべてが「さりげ」なかった。

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ぼくは普段、
ホテルや旅館にとまると好きな音楽を聴くのですが、
ここには不要でした。

むしろ、余計な音を出すと
それがストレスにさえなってしまいます。

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こうした空間を宿としてリプロデュースした
室井さんのセンスには脱帽するばかりでした。

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2泊3日の「保養」を終えて、宿を出るとき、
ぼくは6年前の室井さんとの
問答を思い出しました。

【早川】現代アートって、考えてもさっぱりわからない。
なんであの絵やあの作品が価値なんだろうって。
専門家の解説や技法について学んでも正直面白くありません……
でもアートが楽しめたらっていう自分もいて……(苦笑)

【室井】アートがわからないのは、「わかろうとしているから」。
「よくわからないよね」と言ったらそこで終わってしまいます。

大切なのは、「分かる」ではなく、「感じる」ことです。

「私にはこう見える」
「僕はこの部分が好き」
「なんだか気持ち悪い」

という自分のなかにある「放っておいても出てくる何か」を
ただ感じればいいんです。

ひと呼吸入れて、
室井さんは付け加えました。

「音楽だってそうでしょう?」

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彼のこのひとことで、
僕のなかにある「現代アート」、
もっというと「アート」への
抵抗がスーッと消えていきました。

たとえばぼくが好きなミュージシャンは、
英バンドのCOLDPLAY。

けれど、
「なぜCOLDPLAYが好きなの?」
ときかれても
正直うまく答えられません。

あえて言うなら、
「世の中のしくみを全て分かっているかのような歌詞」や
「聴くだけで瞑想に入れるようなメロディー」でしょうか。

しかし、そのどれもが「感覚的」で、
自分以外の誰かに話すことはできても、
「わかってもらえる」かは相手次第では…そう感じます。

事実、このぼくの表現を読んで、
COLDPLAYを全く知らない人にどれだけ
「伝わ」ったか、
3%くらいしか自信がありません(苦笑)

厳密に言えば、
自分だけの感覚を他人に
100%わかってもらうことは
不可能だと僕は思います。

だれにでもお気に入りの
ミュージシャンが一人か二人はいると思いますが、

その理由は

「好きなものは好きだから」
「なぜかメロディーが心地よいから」といった

ごくごく感覚的なものではないでしょうか。

初めてそのミュージシャンに触れたとき、
演奏技法や豆知識を
「ヒイヒイ言いながら」調べ、
分かろうとしましたか?(笑)

これを読んでいる方のなかには
かつての僕と同じ「アート食わず嫌い」の方も
いらっしゃるかもしれません。

けれど、多くの方は
「音楽の楽しみ方=『感じるままに』」ということを
よく知っているはずでは。

わかろうとするのではなく、感じてみる。

知識なんてなくても、
この意識だけあれば、
アートはもっと身近になるはず。

「ただ感じる」ことに、
知識も時間もお金もいりません。

アートに「考えることなし」に触れ続けることは、
感性のリハビリやブラッシュアップにもつながっていく、
ぼくはこの6年間の継続でそう「感じて」います。

そんな「気づき」を与えてくださった
板室温泉「大黒屋」第16代当主室井俊二さんとの対談は、
ポッドキャスト番組「キクマガ」で
来月11月に全4回にわたって
無料で配信します。

▼人生に響くインタビューマガジン「キクマガ」
http://kiqmaga.com/

保養といいながら、ちゃんとお仕事もしてきました。
せっかくこれだけすばらしいお話を聴けたのだから、
みなさんとシェアしないとバチが当たるなと(笑)

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ちなみに、
今月10月のゲストは、
『あまちゃん』の観光協会の栗原ちゃん、
『探偵はバーにいる』の峰子など数多くの映画、
ドラマ、舞台で活躍中の女優、安藤玉恵さんです。

室井さんの配信までは、
安藤さんのインタビューをお楽しみ下さい!

▼人生に響くインタビューマガジン「キクマガ」
http://kiqmaga.com/

※下記内容はすべて同じ、すべて無料です。

■iPhoneはこちら
  http://goo.gl/7Gjsje
■WEB版はこちら
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■Androidはこちらの無料アプリをインストールして「キクマガ」で検索
  http://goo.gl/lvs719
■ポッドキャストって何?聴き方がさっぱり、という方はこちらに解説を書きました
  http://kiqmaga.com/?p=960

それではまた!

プロインタビュアー 早川洋平

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